2011年10月15日土曜日

と或る読書人の金言

新宿某所※の座談会にて。
2011年10月13日 PM19:00〜
エリエス・ブック・コンサルティング 会議室アゴラ


売れる本の作り方
→売れている本を真似ること。
例:装丁のセンスは自力では一生治らない

真似を極めるとは…

ギリシャ(エジプトの模倣)
なぜ模倣元のエジプトを越えられたか?
・神の模造
・人間性の追求
・大理石という独自の素材を利用


人の真似をして、今までに出したことのない成果を出すこと
真似=他人の力を使うことor他人に成功の道案内してもらうこと

真似をして成果を出す
それからしばらくすると気持ちに余裕が出てくるので、何故うまくできたかを検証する

これからの時期にフリーランスやる場合…
チェックポイント
・クライアントはいるか?
・対価をどの程度か
・供給過多になるのか、最終的なパイはどの程度か


会社の辞め方は大事、円満退社が理想
辞めたときの評価が良ければ再就職もありうるが…
以前に在籍していた会社のステージは異なっていることが多い

倍々成長している会社では2年前の仕事は4分の一の規模になってしまっていることもある。
→対して、自分はアップデートしているか?


経営者が「何」に対して、対価を払うかを、意識はどこにあるかを考えること。

例:書店に良いマーケティングのアイディアがある。が、書店では予算がない。

経営者のマインド:
・人間にお金をかけられない
・本業以外にも目を向けたい
…etc.


現代の就業はより自由になってきている、出戻りもあり。

ただしSNSの盛り上がりにより、辞め方は影響あり。
業界内の人事のつながりもある。
人材業界の狭さ。

成果を出しているひとは買ってくれる。

応援される人の見抜き方
・後輩に支援されていたら売れる
・業務外の周辺スタッフからの支持
※Amazonは360度評価のため、スタッフの信頼も必要だった


成果=相手を徹底的に儲けさせること
→相手のして欲しいことを自分の持っている引き出しで埋める

人脈
・とっておくと後で役立つ
・ニュートラルな姿勢でちゃんと付き合う
・相手を儲けさせる

成果
・ビジネス:お金
・ビジネス以外:相手の好みを知ること
→ビジネス以外での人との付き合い方は、相手の人となりをよく見ておくこと、気づくこと、嗜好性を知ること。


と或るモットー
・友達をやたらと作らないこと
・知り合いを作ること

友達とはビジネスな話は避ける
知り合いならば問題なくビジネスの話ができる

今までに20000人ほどの人に面会してきた
そのなかの知り合いとこれからも付き合っていく

会う順序は、仲の良い順ではない。
会える日時が重なった縁の良い人と会う。
※ベストな条件の人としか付き合わないという姿勢はNG、実際に会った人からどこまで人脈を深堀りできるかが大事。


人と付き合う方法
例:子供だけでゴルフ場を開拓した経験(2ヶ月に及ぶ芝取り)
ビジョンを「ゴルフ場をつくろう」ではなく「ここを平らにして一面でラジコンカーを走らそう」を掲げたら、人は動いた。

→ビジョンがあれば人は動く
※人は楽しいことが好き


支援している著者の書籍:もっと売れるorもうこれ以上は無理、と本は語る

成長ステージはある
ステージに見合った能力をフル活用する場がある

世間的価値観に左右されるのはNG
給与の多寡は業界次第

強みに生きる
やりたいからやるに特化すべき

才能に気づくこと:自分の得意は何?
ただし、若い時に苦手なことをやるのは良い事
苦手を知れば強みは活きる

キャリアを振り返って…
編集:苦手
出版:苦手
分析:得意
販売+分析で成果が上がった


理論と分析
すでに起きた事実の分析から完璧な理論は立てられるが…
「前提が動いているもの」への理論立ては不可能

動く前提へは観察力がいる
・いま現場で見ている人だけが見れるもの
・現象に気づくことのできる素養


現代=モバイル時代
教養で現代を図る方法

例)モバイル時代 ≒ ギリシャ:ミケーネ時代
・宝飾品の流行=資産を持ち運べるものを尊ぶ時代性があった
→定住への不安
・幾何学模様の流行
→整理された状態が好印象に


世界からみた日本=極東のアジア、人気ない
人気ないが為に安全。

100年予測:地政学の本
中国は大国になれない=国境の広さ
米国=巨大な島、「海を制するは世界を制する」が歴史

基軸通貨国であることは高い代償を要する
基軸通貨国の条件=その国の良いことが世界にとって良い事であること
※いまの米国の振る舞いは果たして…


TPPに日本は参加せざるをえない
TPPはフリーでフラットな地図をつくる
それはグローバルな競争力をもつ強いものしか生き残れない状態

TPP=地域差を廃して、真っ平らにする
すると人間はどうするか?
→「壁を背に向ける行為」に出る
=いかに参入障壁を高くするか?と考えるようになる。

TPPが池ならば、餌・釣り糸で選び方で決まる


日本人の特性?
世界基準で見ると、日本人は凡人でも細やか

ロボット=人材+電脳
ホスピタリティ仕様の日本製ロボットは魅力、PCを駆逐する未来は有りかも


政治家は営業力が命、「日本を買ってくれ」といって欲しい。
韓国はサムスンを買ってくれと言えるが、日本は選択肢多すぎる…

ブランドは売れる

日本の閉塞感:マネージメントが云々ではない、稼げるネタがない
→未来の希望があれば明るくなる

捨てないから次が見えない・新しいことができない


資源とマーケットのあるところに人が集まる
→かつての長崎軍艦島(当時の東京人口密度の2倍

日本の端にある国際空港が栄えるべき
→札幌、博多、日本海側も
空港が街から遠いのはナンセンス


ギリシャ観光業のGDP比は20%
神話ネタは儲かるはず

日本のホテル観光業は「英・中・韓」サイト必須にした方がいい

ギリシャ旅行時、書店にあった観光ガイドブック
Japan⇢Kyoto⇢HOSHINOYA(星のや)が中心ページにある…!?
星のやが京都代表の旅館、延いては日本代表旅館のようなポジションとなっている。

日本の観光業GDP比は0.5%
カンボジアでも9.5%

→日本の売り込み下手
留学生で自国へ戻ったひと対象に通販しても需要ありそう。


ソーシャルマーケティング
日焼けを売るな、美白を売れ→韓国は美容エステで海外客を取り込める

日本人らしさを売れ
ケータイ=現代の蒔絵

高価な本物を売ると同時に、安価なレプリカも売れる

日本は海外と金融で勝てない
商品・アイディアがお金を振り回すようにすべき

facebook:エンジニアが金融に買った歴史の転換点
強くなった消費者と、彼らの欲しいものをつくる者にお金が流れる時代
しかもそれはグローバルで起きている。


日本 ≒ ギリシャ
小国かつ歴史文化をもつ
→ローマの流通にギリシャの商品を載せて流した歴史から学べる

現代なら日本文化・神話を新興国エリートに教え込む策がある
Japanese Emperorは世界最古
USAは歴史への憧れがある、天皇崩御の際はTime紙表紙掲載になる

日本儀礼スクールの需要ありそう
いかに早く、さりげなく流通網に忍び込ませられるか


話題戻って、ロボット
ホスピタリティ最高峰は大阪リッツカールトンホテル
ロボットならではのサービス、アイディア

国内アピールポイントは海外から距離を置いて見るとわかる
日本人の所作はセールスポイント

解禁に弱いVIPマーケティング:
マーケティングは国内の伝統物解禁→VIP招聘→あのVIPが来たというキャッチコピーで売れる

Disneyは映画およびストーリーありきで売れる、キャラクター先行ではダメ
※映画、世界観提供→ファン獲得→キャラクター認知→遊園地、グッズ販売
SEGAはゲームキャラクターから入ってしまった…

人は気分でも買う、面白い映画を作ったら映画に紐付く商品は売れる


最後のまとめ:
日本の良さを活かして、仕事を作りましょう。

2011年10月8日土曜日

未来は遅れて訪れる、または訪れない

Steven Paul Jobs has passed away.

1955年にこの世に生を享け、享年56歳。


彼の死は米国平均寿命74歳と比べても20年は早かったと言われている。
彼の居たかもしれない20年で、今後のクリエイティブがどれほど欠けるのかとも。

パロアルトが、ジョブスが過去に夢見た未来はようやくそれらしい形で実現して
彼は他界してしまった。






彼が現代で実現したのは、かつて夢見た30年ものの未来だった。


未来は遅れて訪れる、または訪れない。


未来を叶えようとする力と、それに抗おうとする力の拮抗で、
芽生えては消え、切り口の先からまた芽吹くように。

起きた事物が、メディアの糸を通じて、見知らぬ国の見知らぬ誰かに響く。

意志の連鎖と継承は、いつの時代も静かに起きる。




2011年10月3日月曜日

聴講メモ:【希有馬屋フリートーク#1 井上純弌「聞くだけで上手くなるエロ&萌え絵講座」】@代官山 ”山羊に、聴く?”

井上純弌さんのトークイベント聴講してきました。

【希有馬屋フリートーク#1 井上純弌 「聞くだけで上手くなるエロ&萌え絵講座」】@代官山 ”山羊に、聴く?”

井上純弌さんは「中国嫁日記」で2010年ブログアワード受賞。
同ブログは最近書籍化もされ、いま非常に勢いのある人です。

同人制作に長期間携わり、売れない時期も長かったと聞きます。

売れる、と、売れないの両方を知った人のナマの話しは、サービスorコンテンツ制作者にとって、非常に有益と感じ、参加してきました。

以下、その講演のメモ。

***
売れたのは嬉しいけど、煩わされるは無意識の売れたくない病

面白い↔面白くない
売れる↔売れない
…これらに相関関係はない
…こうすれば解決という結論もない

知人の編集者のサトミさんにどうすれば良いかを聴くも
売れたくない病は意識しても治らないので良い加減なことは言いたくない。
(対:あずまきよひこさんのみに責任をもつプロフェッショナル)


同人誌ってなんだ?
10年以上やり続けている。

エロ/萌えは同じ(違いは「強弱」のみ)
言うなれば、痛さと辛さの違いのようなもの。

10万部売れることと1万部売れることは別次元。
→言っていることは同じでも、発言の影響力が違う。

※言ってる人も同じ、言っている内容も同じ。
それでも売れている部数の大小で相手に通じたり通じなかったりする。

意識的な売れたくない病というものもある:売れるような漫画は書きたくない。


TRPG(テーブルトークRPG)
いかに多くの人に遊んでもらえるかを意識して同時活動をしていた。

一番売れているTRPG「SwordWorld」30万部
書籍「中国嫁日記」20万部
→マーケットの大きさで影響力は違う。


漫画作品例から…
「ひまわり」:ネームをけなされるのが辛くて書ききれない
「バングラディッシュで玉の輿」:面白いのに売れない、照れが見える
「ダーリンは外国人」:売れへの照れが無い、これは才能
「セーラームーン」:売れへの照れがとにかく無い

井上さんは「自意識の肥大している人を観察するのが好き」「自分のできない事をやってくれる、自分は追体験できる」


売れたくない病で仕事すると…
小賢しいことをする:分析してウケたことを繰り返そうとする。

これを防ぐためには…
参考例:相撲
「瞬間の競技のため、立会の時間しか戦略を考えられない。同じ手の反復は通用しない。
なので、勝負時は無意識にする。」


評論をすると基本的には売れない。
町山さんは映画評論以上にクリエーターとして自分を売れている。
映画評論を材料に、それを語れる自分をコンテンツとして確立している。


脳と分析「ユングとフロイト」
主観が一番面白い!

心理分析は事象の積み重ね、それ自体はつまらないもの…。

歴史=勝者の主観だから面白い!


<講座>
ネタ本「本気の漫画術

レンズの種類:広角・標準・望遠
※望遠の世界には歪みはない

士郎正宗さん
→人間は望遠・背景は広角


遠近感
アダルトビデオは広角レンズ(男性を小さく見せる
→迫力あるが、冷静にさせてしまう
客観性があるために馬鹿っぽい
(絵が上手いために…という例はある)

望遠
距離が近くなる
絵が下手でも誤魔化せる


ドラマ「HERO」
基本円形レンズ
クライマックスはずっとアップ=パースを殺すことで親近感を沸かせる

押井守さんはスパイ(見られてる感を)出すときは、魚眼レンズ使用
その観察者の視点で見れる

ボルゼさん
同人誌売り手、構図はいつも同じ。パースを排してエロさを引き出す。


エロさはすなわち望遠


ネタ本「萌え絵の教科書
→パースの話は一切ない

アイドルマスター然り、3Dパースを与えると萌えの認識ができなくなる

江戸時代の春画=望遠
西洋画技法もあったがエロには導入せず。


エロ絵ってなんだ!?
エロに正解はあるのか。

DVD「一人ごっつ
第一話にてまっちゃん曰く”お笑いには正解があると思うねん…”

井上さん:エロにも正解があると思う。
コミケ会場の熱然り、そこに集まる訳がある。


過去の作品を辿ると…

「マクロス」
…今見ると絵が変だが、当時はまさに求めていたアニメはこれだ!という感覚が確かにあった。

「センチメンタルグラフティ」
…10万本のヒットゲーム、今見るとパースがおかしい。当時は模写していたくらい正確と感じていたはず。

「特攻の拓」
…不良が出てくるとリアル
ヒーローは望遠。
→これは不良は他者(敵)として認識させる客観性を与えるため。


どちらが正しい?
・今の自分たちが見た過去の作品評
・当時のファンの作品評
→当時のファンが正しい!萌えは歪むもの。


時代ごとに正解がある。
→コンテンツの当たりは時代性に左右される。

今買っている欲しくてしょうがないものは、10年後には価値がなくなるよ。
または、今と違う目でそれを観るようになるよ。

ちゃんとした絵は時代を超えた萌えの正解となりうるか?
→No。それは客観的なものになってしまう。萌えはあくまでも主観。


AVパッケージを見比べて…
1980年代のアダルトビデオはやや怖い、ださい。
2000年代になると、少し見慣れたものになっている。

なぜ?
→女性のスタイルが良くなったから?
答え:化粧と照明のせい。進化したりはしない、素材は同じ。
その時代では、その「化粧と照明」がベストパターンだった。


なぜエロには今しかないのか。
→今一番良い雌を求めているから。

狩猟生活・農耕生活・現代社会への変遷
3〜5年のパートナーシップ。

消費対象に対して…
消費者が半年単位で変わるのが、女性の描き手
消費者が3年くらい付き合ってくれるのは、男性の描き手
→パートナーシップ


漫画家の先駆者の先生方には既得権益がある。
書きためたもの、ノウハウ的な意味で。
※ただしエロは除く、それは生鮮食品だから。



次に現れるものは消費される。
エロ萌えは常に最大効率、その瞬間に金儲けに直結。
この時間にしかないものを買う。
→今一番売れているものから技巧をパクるのは有効。


フィギュアは8,000〜10,000円相当するが3年もたない。

ただ、フィギュアの人気には例外はある。
プレミアフィギュア、リアル系はプレミアが付くことも。

例外①:投機的価値のあるもの。
キャラクターは生き残る=ずっとお金を稼ぎ続ける。
※仮面ライダー、ガンダム、ウルトラマン…
→将来になってから買えないものが価値が出る。

例外②:何度もリメイクされるもの。
※戦艦ヤマト

例外③:商品価値の高いもの
※連合艦隊(シリーズもの、切り分けたら価値がないようなもの)


村上隆さん
「芸術は消費される」

アンディ・ウォーホル
→キャラクターになったから売れた。


強烈なキャラクターの価値

小池一夫さん「劇画村塾」での教え
→キャラクター(人格)を立てること!


漫画:「アバンチェリエ」
原作は100年以上前の小説
現代版でも大幅な脚色はしていない
→これがキャラクターのもつ普遍性


石ノ森章太郎
SFの大好きなものを収集した。
→当時は変身して強くなるという概念が存在しなかったため、
仮面ライダーの変身の表現に苦心した。
それを成し得てブレイクスルー!

ウルトラマン
→銀色の巨人が僕らの味方だと認知させるまでの過程が困難。
円谷プロの特撮技術があってこその。


映画:「マトリクス」
3D拡張現実のイメージを感観客に植えつけた。

映画:「インセプション」
拡張現実に対してマトリクスの下地があってこそ大衆に受け入れられる。


「中国嫁日記」
中国人とはこういうものだ?を見えるように。
先駆者コンテンツは、「ダーリンは外国人」(国際結婚)
→もや〜と漠然としたものに形(またはキャラクター)を与える。


ヒットコンテンツのキーポイント!
①今までにないものを創りだす。
②漠然とみんなが思っていることを形にする。


エヴァンゲリヲン
画期的なこと。
・ロボットにオカルト要素を持ち込んだ
・アニメにエロさを取り入れた(過去にも試みはあったが成功例としては無かった
→エロ・バイオレンス・食欲、の描写は魅せられる


宮崎駿さん
「自らの半径5m以内に目を向けよ」
→もや〜としたものに形を与えるコツはこれ。

小田空さん
→中国を漫画描写、しかし対象が広すぎる。

中国嫁日記では中国人を描く
キャラクターとして認識させることで勝負。


みんなの知らないものに形を与える他の例
奇襲的なものもある:
ノストラダムスの予言、一発芸人ネタ
ただしこれは反発も招きうる。


まとめ:ヒットコンテンツのために大事なこと
・今までにない新しいものを生み出す、ブレイクスルーを起こす
・半径5m以内のモヤモヤに形を与える

***

以上です。

2時間あっという間でした。



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