2016年4月30日土曜日

第2回 ハリウッド流映画脚本講座 講義録

書籍「胸キュンで100億円」を読むなかで、書籍内にカルフォルニア大学の映画講座からゲームアプリシナリオの知見を得たとあり。

アプリかサービスか問わず、何かを企てるにあたりそれは大事な視点だなと思ったところで、偶然見つけたいPeatixのイベントに参加してきました。

講義中の「3幕8場」構成は興味深いエンターテイメントの仕組みなのですが、元々は映画のリール交換のタイミングに合わせた物理制約から生まれたという経緯に納得です。

面白い作品の内訳とその科学を知るようで、とても勉強になりました。


--- 講義録 ---

第二回 【堺三保 ハリウッド流映画脚本講座 シナリオの構造とは?】

場所:練馬公民館
開催:2016/04/30 18:30-21:00


監督、演者の共通理解のためプロトコルとしての映画術

「3幕8場構成」
長編をつくる考えかた 
言ううなれば、画家にとってのデッサンのような話し


本講座はテーマを変えて全5回
  1.  star wars
  2.  真夜中のカーボーイ
  3.  ミスリトルサンシャイン
  4.  いつも2人で
  5.  その他

(前回の復習)

ストーリーには下記の構造ができていることが大事

主人公 VS ライバル
├内的障害
└外的障害

乗り換えないといけないもの、障害
 物理的
 精神的

アンチヒーロー
 悪人、等

今日の映画
 アンハッピーエンド


アンチ・ヒーロー
アンハッピーエンド
 興行収入的にも嫌われるもの
 基本狙わないから

最近のTV番組傾向
 アンチ・ヒーローもの流行りつつある
 オリジナルもの、Netflixなどでウケる
 一般的なところでないものも受ける
 最終回はひどい目に合うのは共通
 キリスト教の原罪としてもひどい目に会うのは合理的

主人公とは…
 大事なことはひとつだけ

手に入れるのがとてもむずかしい「何か」を、なにがなんでも手に入れたがるひと

つまり、完璧な主人公とは
 →巨大な難問(Conflict)を抱えているひと

2時間じたばたする過程が映画だ、ドラマだ。
※入手できたかどうかはさほど問題でない。


英語圏
 自己主張しないと評価されない文化圏
 すごいもおもしろいもそれで決まる

落差のでかさが面白さに繋がるのだが、日本語圏。


ほしいもの ≠ 必要なもの であることが大抵。

ドラマの終わりには
 必要なものに気づく or 観客に気付いてもらう そしたら幕引きとなる。


他に大事な二項対立
「希望」と「恐怖」

駆け引きがドラマをつくる、「Dramatic Tension」を産む。
 ここを行ったり来たりする
 きっかけはなにか

どう行動するか主人公が決めること「Decision Making」が大事。
 ※ここがテンションを上げる、決めたらその結果は筋に沿う。

なにもしたくない主人公、エヴァンゲリオン等。
状況迫ると、受動的なキャラクターでも動く。



巨大な難問
 むずかしいこと、わかりやすいこと。
 一言で表現できるもの。
 それをヒッチコック曰く「マクガフィン」という

状況説明
いいドラマは説明台詞が少ない


主人公のConflict
 物理的な、外的障害であることが多い

 内的障害を超えるようにさせたい、が視覚的にも表現したい
 そのために外敵障害の乗り越えで代替することになる

例:スターウォーズ
 農家にいる若者
 何か大きなことした
 家を継げと言われる
 外から(よそ者からの場合も)問題が振りかかる
 それをクリアする
 何者かになることで、外的障害を克服する

その他の障害の種類
 動的 :ライバル、ダースベイダー、敵キャラ。
 受動的:人以外で良い。エベレスト。環境など。

わかりやすくなりやすいのは受動的障害
おもしろくなりやすいのは動的障害


希望と恐怖
 主人公と観客がみるものがずれる(例:志村うしろ!)
 この先どうなるか感、未来のものだからいいんだ

謎解きはパズルである

長編ミステリー
 未来がある、そのため連続殺人となる
 オチはそれまで止められない

おおきなコンフリクトを超えるために、小さいテンションがいくつも出てくる

主人公を気にかける必要がある
が、主人公を好きになる必要はない

主人公は正義でなくて良い、積極的に大きな問題をなんとかしようとしている人。


主人公
 通常 好感がもてる
アンチ・ヒーロー
 ・キャラクターへ同情できるか
 ・共感もてるか
 ・興味をもてるか

例:ルパン
 泥棒
 盗ったもので悪さするのでもない
 冒険心に共感する

例:悪党パーカーシリーズ
 メル・ギブソン等
 日本でならゴルゴ13のようなもの
 困難なミッションに挑む

例:ブレイキング・バッド
 化学の先生
 余命短い、お金が必要
 同情、共感なくなるが、コンフリクト(敵の強さ)は膨らんでいく





以降、真夜中のカーボーイの話し


3幕8場とは

Ⅰ             Ⅱ                          Ⅲ
1     2     3     4     5     6     7     8

フィルムの歴史
 2時間でリール8巻
 1巻あたり15分

 編集のひとは15分ごとにまとめていた
 15分ごとに話しをまとめていた経緯が8場構成となった

構成語
 幕  アクト
 場     シーケンス
 場面    シーン
 カット     ショット

Ⅰ幕
 情報与える、2場
Ⅱ幕
 テンション上げる、4場使う
Ⅲ幕
 テンションの解放、2場


90分の英語
 2部作
  映画:チェ・ゲバラ、マハトマ・ガンジー

形式の外し
 序盤、後半長いのを避ける

Ⅱ幕の転がし方が一番むずかしい


1〜8場

1場 状況説明
(ここにポイント・オブ・アタックがある、何かを起こす)
2場 セットアップ
(ここで目標設定)
3場 1番低い障害 ※2幕目で障害が次々に起こる
4場 2番目に低い障害
(ここで中盤のクライマックス)
5場 再整理・サブプロット
 問題の再整理、キャラクターの心情語り、一休み、シャワーシーンが入るようなところ
6場 最大の障害
(目標が達成されるのだが、新たな障害が起きる)
7場 
(最後の対決)
(Twistが起こる、エッと思うようなこと。来るはずのないことが起きる等)
8場 すべての解決


6場の補注
 外的障害がクリアされる
 主人公成長して、内的障害もクリアされる(オトナになる等)
 その目標クリアで、新障害が生まれる




「真夜中のカーボーイ」
 イギリスの監督
 USA公開 1969年
 日本公開 1977年

1960〜1970
JPN:ニューシネマの時代(USA:アメリカンルネッサンスの時代)

本作は、野外ロケ多い、移動撮影も多い
50年代の映画はセット舞台で作り物感多かった

当時
MGMミュージカルはハリウッドの華
代表的なエンタメ

ミュージカル映画嫌い
ウェストサイド物語以降は野外撮影となったが…

ニューシネマ
 俺たちに明日はない、明日に向かって撃て、フレンチ・コネクション…等
 ロケが多い、ドキュメンタリーに近い
 照明の調整ができないところとか

例:タクシードライバー
 音声が一部聞こえないくらいの野外

製作背景
 大作映画が赤字になっていた
 低予算で撮る、セット使わない策

監督の変遷
 亡命、移住者の監督がUSA式映画を撮らなかった
 戦場カメラマンが外で撮った
 ブリティッシュニューウェーブもあった

歴史背景
 ベトナム戦争で現実のつらさ
 ヒッピー・ムーブメント
 反体制的な若者の映画も増えた


「真夜中のカーボーイ」
テーマ
 貧困、友情

シナリオ
 真面目に生きようと思ったときに親友となった友人が死んでしまう

舞台
 ニューヨーク
 世界最大の都市
 90年代の市長テコ入れ前、荒廃していく過程
 廃墟を住処とする主人公

主人公
 テキサス州からやってきた青年
 役者ジョンブック

映画は113分
 Ⅰ幕 〜25分目
 Ⅱ幕 〜95分目
 Ⅲ幕 〜113分目

Ⅰ幕
(1場)
 テキサス
 ジョー登場45秒
 朗らかな青年
 明るい曲
 田舎の演出 
 皿洗いの仲間に挨拶
 都会でハスラーになって儲けるんだという意気込み
 紐になって暮らす野望
 自己イメージと周囲のイメージの乖離
 友達もいなそう
 バスにのる
 ニューヨークへの旅
(2場)
 夢をみる、過去のトラウマ
 おばあさんへのマザコン
 彼女とは悲劇的な別れ
 バス客の入れ替わり、宗教的な風景
 (13分頃)ニューヨークのラジオ始まる
 妄想も始まる、熟女のイメージが増える

主人公
 内的 愛情に飢えている(おばあさんの愛人がカウボーイで愛情盗られた経緯でカウボーイに男性を見ている)
 外的 ハスラーになる
 ※妄想の中に内的障害を描く
 
 ニューヨーク安ホテルにチェックイン
 故郷への絵葉書は出さずに手を止める、友人の無さを描く
 平日、口説き文句がひどい
 高給コールガールにつかまる
 頭弱くて、情にも弱い
 本気で紐で暮らしたい意欲は伝わる

※本作は悲劇ということもあり、障害の山谷はさほど仕込まれていない 

 ダスティン・ホフマン(前年にアカデミー賞を獲っている)
 ラッツオと出会う、出会い頭から咳き込む
※ニューヨークは北海道と緯度変わらず

 ゲイのひとに可愛いと言ってしまうくらいの目のなさ
 騙されてゲイ?の狂信者に面会させられる
 カトリックの洗礼のフラッシュバック
 ラッツオ探すシーン、他人に酷い目に合わされる
 TV 犬に着替えさせられるシーン
 映画館の男色に迫られる、悪いことはできない人柄
(45分)
 ラッツオと再会
 本作は、5場と4場がひっくり返っている
 ラッツオ宅に共同生活することになる
 トラウマのフラッシュバック、主人公の幼児退行の原因がわかる
 マイアミの夢をラッツオ語る
 ニューヨークの女性はカウボーイに惚れない
 中盤のクライマックス(目標の明確化、コンビで売り込む)
 帽子万引き、エスコートサービス、等努力
 失敗
 ラジオ売って、売血してラッツオに金をもってく
(5場)

(7場)
 変な二人組にパーティのチラシをもらう、アーティストの集い

(88分)
 ついに目標達成、男娼としての売上が立つ
 ラッツオの体調の急変

内的障害
 愛情飢えている→友達ができた
外的障害
 ハスラーになる→なった!

 医者よりは要らないからフロリダに連れてけと
 街で男をつかまえる
 お金が足りない
 良い人だった主人公が、お金を強奪してお金を作る
(101分)

 途中で、服を新調して、カウボーイ服を脱ぎ捨てる(外的障害の克服)
 マイアミで新しい仕事をする
 ラッツオが死んでしまう
 明るい曲と共に、バスはマイアミへ。

主人公のシナリオ変遷
 愛情に飢えている
 友情で賄われる
 友人を失う

ハッピーエンド
 もうだめだ!→(Twist起きて)→万事OKになった、となる
アンハッピーエンド
 うまくいく!→(Twist起きて)→すべてダメになった、となる


以上です。

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